今年8月で合同会社ロックロブスターの設立から数えて15年目に入ります。当初から WordPress 関連の開発や教育などを会社の目的としており個人開発者のためのマネジメント会社のような存在でしたから、人的資源の活用を趣旨とした合同会社という組織形態がこれまでは最適だったと思います。
当社では現在、独自開発の Schema-Woven Validation 技術とその応用である Contactable.io プロジェクトの推進に向けて大きく舵を切っており、その実現を支えるために会社のあり方を変えていこうとしています。具体的には株式会社への組織変更とベンチャーキャピタルからの資金調達を2025年中の課題として動いています。
変化の只中にあるからこそ、これまでの来歴をふりかえり、創業者として大切に守ってきた価値観を言葉に残したいと思いました。役員、従業員、あるいは株主として当社への参画をお考えの方はまず本文をご一読ください。これらの価値観に共感いただける方のみに参画いただくことが互いにとっての幸福につながると考えます。
オープンソースコミュニティへの敬意
設立の目的からこれまでの活動のあらゆる細部に至るまで、当社は WordPress やその他のオープンソースコミュニティとの関係を無視して語ることのできない存在です。当社のルーツはオープンソースコミュニティにあり、そこから多大な恩恵を受けてきました。それはこれからも変わることはありません。オープンソースコミュニティに関わるすべての人への敬意を忘れてはなりません。
当社も会社組織には違いありませんので指示命令系統や上下関係といったものはあって然るべきと考えますが、それはあくまで社内の文脈に限ってのことです。社外で会えばコミュニティのメンバー同士、対等の関係である、ということを常に念頭に置いて人と接するべきだと思います。従業員が個人の名義で行っている活動に会社が介入するようなことは不当であり絶対にあってはなりません。
影響力の最大化
WordPress から学んだ重要なことのひとつに、オープンソースには伝統的な生産活動に期待されるよりはるかに大きな価値創造を実現するポテンシャルがある、ということがあります。一方で、オープンソースの生態系から収奪するばかりのフリーライダーもまた多く見てきました。
フリーライダーの行動に典型的に見られる特徴のひとつに、ベンダーロックインの構造を形成しユーザーを囲い込む、というものがあります。そのような、閉じた矮小なバブルを本来オープンであるべき生態系の中に作りその中で利益を独占しようとする、不健全な商慣行に当社は与しません。
売上や利益の最大化ではなくプロダクトやサービスの持つ影響力の最大化を当社の目標とします。影響力とはオープンな生態系にもたらす価値の大きさと同義です。普通の人が想像するよりはるかに大きな価値を創造し、その1/1,000程度が会社の収益として返ってくるぐらいがちょうど良いバランスだと考えています。
旧弊打破
歴史のそう長くもないインターネットですが、合理的な理由づけのないままなぜか長年常識として認識され続けている固定観念というべきものが多々あるように思います。一例を挙げるなら、離脱率が上がることは明白なのになぜか日本の企業サイトで濫用される、フォームの確認画面がそうでしょう。
こういった間違っているように思えてならない前時代的な常識に気づいたときは逐一声をあげていきましょう。顧客やユーザーからの反発を招くでしょうし目先の浮利を優先するなら黙って迎合していた方が利口かもしれません。とはいえ当社は影響力の最大化を目標とするのですから、長期的には悪影響の方が大きい旧弊を放置することは許されないと思います。